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対立ー怒りの対処の仕方
目的 怒りや対立とうまく向き合い、団体交渉やコミュニケーションの能力を高める
時間 0 分
実施 第2回日米ワークショップ icu
実施日 2006/12/04
方法 組合内部や団体交渉での「対立」に対する対処方法

参加者への質問
1-「対立」に対処するスキルが必要な状況はどのようなときですか?
2- どんな状況か詳細を説明する。
例:
 行き詰まったミーティングの進行をしなくてはならないとき
 団体交渉で手ごわい上司と話しをするとき


3-「反復型」リスニングスキル

2人組みになる。
ペアの片方のパートナーに休暇の計画を話してもらう。
(”what I hear you saying is”)という言いまわしを使って相手の話し た ことを繰り返す。
「おっしゃっていることは(相手の言葉を繰り返す)ということですね?」
「(相手の言葉を繰り返す)と理解しましたがいいでしょうか?」
この要領で聞いたことを繰り返す。
もし聞き逃したら繰り返してもらう。このときも上記の言いまわしを使って
パートナーの言ったことを繰り返す。
その他の使える表現:
「ちゃんと私が理解したか確認させてくださいね」“Let me see if I understand you correctly”
「間違ってないか確認させてくださいね」“Let’s see if I got this right”

このスキルの目的:
このスキルによって聞き手は、話し手の言っていることを明確にすることができる。
誤解による「対立」を避けられ、相手の言っていることを(相手が落ち着いて問題が明確になるまで)繰り返し言い返すことによって「対立」に至らないようにすることができる。


4-「無反応型」リスニングスキル

ファシリテーターは参加者に上司やユニオンのメンバーなどが扱いづらい「難しい」人で相手にしづらい状況を説明してもらう。
腹を立てていたり、口論ばかりしていたり、興奮していたりする場合。
このような状況をどう対処できる?

「無反応型」スキル

ファシリテーターは両方の役割を演じてみせる。
このスキルでは、「相手にしづらい」態度の人の対応をしなくてはならない立場の側は言葉を一切発しない。そして、「相手にしづらい」態度が止まったら、何事も無かったかのようにディスカッションを続ける。

このスキルの目的:

「相手にしづらい」態度、屈辱的な態度をとる人を相手にしなくてはならない側の人が、物事がますます悪い方向に向かうことに巻き込まれなくてすむ。相手側は自分で勝手に論争しはじめるが、そのうち落ち着くことが多い。
ーーーーーーーーーーー実践編ーーーーーーーーーーーーー

<1.組合内部や交渉での「対立」に対する対処方法>
−対立を扱う−
F:対立そのものは、別に普通のことで、そのこと自体がいけないことではありません。ただし、対立をどのように扱っていくか、1つの技術として学ぶ必要があります。
  どこでも同じですが、アメリカの女性も対立を嫌う傾向があります。殆んどの女性は、対立を避けたい、回避したいとなってしまいます。

どのように対立に対処したらよいか、どう向かい合うか。二つの方法があります。
まず、1つは対立を避けるという方法。しかし、残念ながらいくら対立を避けようとしても、対立はなくなってくれるわけではないですね。

次の方法は、怒ってしまう。攻撃的な方法です。
怒りをもったとき、それとどのように向かい合っていくのか、ワークします。
うまく行かないときもあるし、引いてしまう人もいます。
  わかっているけど怒ってしまう。なかなかうまく行かないのは世界中どこに行っても同じような傾向ですね。
みなさんちょっと考えてみてください。対立が生じる場面を思い浮かべてほしいのです。どういう時に対立が生じますか?
S:意見が違っていて、理解してもらいたい気持ちが焦りとなるとき。
F:焦ってしまうと、対立がどんどん深まってしまうときもあります。
焦ってしまうと耳が閉じてしまって、人の話が聞こえなくなってしまうわけですね。

どうでしょう、例えば上司と対面しなければいけない場面とか。そんな時に、どうしたらいいのか。やはりスキルが必要なんですね。
  私も上司と絶えず議論していたわけです。私の所属している組合と、本当に多くの対立があったわけです。
ミーティングの中で、私自身の中である種の抜け道が見えているんですね。ただ、それをどのように伝え、皆を説得できるのか、その方向に向かわせていくのか、なかなか大変で、見つからない。自分には見えているんだけれども人には見えていない。
  時には、他の人も同じことを話しているときもある。ところが、人の話を聞いていない、同じことを話しているのに。特に自分より力がある人との関係においては、なかなかそういう感じになれない。上の人たちは下の人たちに押し付けようとする、強制しようする力があるわけです。
  力関係で上にあるものが予測したことが起こっている。ある種、押し付けているのを意識しているわけですから、押し付けられている人は怒りが出てくるわけです。
  今日は、そういう場面において、どういうスキルがあるか、皆さんに伝授したい、少なくとも私には効果的だったものです。

−反復型リスニング−
F:例えば、私に怒鳴ってくる上司がいた。怒鳴られるのは怖いですからね。
怒鳴り付ける上司に対しても、一緒にやっている仲間に対しても、気持ちが離れるのでなくて気持ちをひとつにしていくやりかた。

そのひとつが反復型リスニングです。どうでしょう?反復型のリスニングという言葉を聞いたことがありますか?
 この手法は、対立そのものと距離を置く、そして相手がいっていることを反復するやりかたです。いくつか決まった言い方があります。たとえば
  「今、あなたが、話してくれたことは・・・・・・ですね。 」
  「ちょっとまって、あなたは、たぶん、こう言ったんではないでしょうか?・・・」

議論の対立は、そこで議論が起こる前に感情が先立ってしまうということなのです。
例えば、口を開いたとたんに、締め付けてやりたくなってしまう人がいるわけですね。
S:います・・・
F:ですから反復型リスニングが、役に立つのです。
その時に、大事なことは先入観をもたないということ。家族の間でも非常に役に立つスキルです、夫に対して子供に対しても。

F:やってみますので、相手を選んでください。
相手に、「ここで学んだことを、どういう風にしていくつもりですか」と聞いてください。
聞いている方は「あなたが言っていることは、実はこういうことなんですか?」
  と言ってください。もしも聞き手が、ちゃんと聞いててくれないようだったら、
  「私が言っていることはこういうことなんですよ」と言ってください。
  また、そこで反復がされるわけですね。
  ちゃんと相手が聞いてくれて、自分の言いたいことをきちんと反復してくれた時は「はい、その通りです」「言いたかったことは、それなんですよ」と言ってあげてください。

F:これは、二つのことをしていると思うのですね。
反復を繰り返すことによって、私たちの傾聴、聞く能力を高めていくことになります。
それと同時に、対立との距離を持つ。つまり、相手の言おうとしていることを理解する、会話に入っていくということなんです。
  そのようにして、相手を変えて、役割を変えてやってみてください。
A:「ここで学んだこと」っていうのは、ここで学んでいるということ?
F:どんなことでも結構です。ワークショップ全体でもいいですよ。
  全体で習ったことでもいいし、この中で習ったことでもいいです。
  あくまでも練習なので、深く考えないで、反復することに意味があるんですから。
  10分間。5分づつやってみてください。
<二人一組で練習 省略>
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
F:みなさん。終わりましたか、楽しそうでしたが。感じわかりましたか?
では、だれかに、怒鳴られている時に同じことができると思いますか?やってみませんか?
誰か知っている人を想像して、上司でも組合員でも怒っている人を想像して。
1人づつ、怒っている人になってみて、パートナーは反復リスニングスキルを使って、対処して下さい。途中で交替してやってみてください。自分が知っている人、組合員でも上司でも大丈夫ですか?大丈夫ですね。

F:二つの言葉を覚えていて使ってください。
  「あなたの話してくれたことは・・・ですか」「今、話してくれたことは・・・ですね」
  どうでしょう。ちょっとやってみますか。モデルを通訳の朴さんとやってみます。

F1:ヘイ、エミリー ここで何しているの
F2:私がここで何しているかわからないの?
F1:何しているのよ?
F2:構わないで。あんたがここにいるの気にくわないのよ。気分悪いし。
F1:そうか、気分悪いの、ごめんね。
F2:謝まって欲しくないの。

S:聞き返すことが嫌味になることはないのですか?聞き返すとおかしい場面ありますよね。
F1:やっていて気付いたことは、いくら何を言っても帰ってきちゃうって感じがしたこと。
F2:相手に嫌味に取られるのを心配します、ということですね。
S:客観的に質問し返すことが、へんてこでおかしいという感じがする。

F:とっても変だけど、相手が怒っている時は、自分が何を言っても聞いてくれていないから、
  そういう場合は、自分がカガミになって反射する感じになる、そうすると、相手が自分は一体何を言っているのか、見えてくる。それは自分の姿に気付くこと。
S:謝まりゃいいんでしょ、みたいな言い方じゃなくて言う、ということですよね。
S:エミリーさんが、ごめんねと言って、それを謝まりゃいいんでしょうと返していくと、カガミでなくなってしまうということですよね。
F:怒っている人は、聞こえていないから相手が冷静になってくれた時には、じゃ、今日はちょっと具合が悪いんですか?とかそういう風に、聞ける。
反復していると相手が冷静になってきて、自分が言いたいことをもう少し押せるようになる。今日、〇さんには、こうして欲しいと伝えられる。
ここでは、反復といっているのですが、投影するということでもあるのです。
S:私の場合、相手がすごく怒りが強い時に謝ることが多いのですが、ストレスになる。
  とことん、ガーとやりあったほうが後ですっきりする。
F:議論したりケンカをやりあうほうが、中味がわかっている時はいいかもしれませんね。
相手が自分の娘だったら、あんた、なに言っているの?ばかじゃないのかとか、反応できても、組織や組合の中では、これからその相手と一緒に仕事をしていかなければいけないし、関係が近いわけではないから、ケンカするなら、ケンカの内容をわかってしなくてはいけない。わかった上でケンカしなくてはいけない。
  闘いを自分で選べという事です。闘いに価値があるんだったら闘えばいい。
<二人一組で練習 省略>
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−反復リスニング 攻撃・怒りへの対処−
S:質問です。自分の満たされない気持ちをアピールするために、攻撃的な態度になったりする人がいるんですけど、そういう人に対して単にカガミとしてそういう態度をしていると、怒りが余計ひどくなるんじゃないか?という疑問を持ちました。
もうひとつ、カガミをし続けたら、じゃもういい、となって、気持ちが違うところに行っちゃった、行った先でもっと被害が大きくする可能性がある、それだったら、そこで「はい、はい」って聞いて、一理あることもあるので、「そうですね」と受け止めた方が被害が少ないんではないですか、いう質問です。
F:自分が怒られる理由がないのに、怒っている相手に対してどういう態度を取るかというスキルなので、どういう場所で使うかは自分が選べばいい。いつもそうする必要もない。
S:最初に、怒りの反復型リスニングスキルをやったときは、そこでそのまま議論に入ってしまって・・・
こっちがリードしようということではなくて、反復しながらちょっとづつ相手が納まっていってくれればいいというところまで戻していく、そして次へということですか?
F:とりあえず、相手が何で怒っているのかを明らかにする。もうひとつ、これによって相手が何を言っているのか解明する。
  そうでないと、完全に行き違いになってしまう。相手が、こっちに行って自分がこっちに行っているから。
S:私は、すごく怒っている、それに対して冷静に反応が返る。実際に話してみると、自分の言いたいことだけを言って、相手からも、それが同じように返ってくる。だから、意見がすれちがう、納得できない。私自身としては行き違いという風に感じたんです。
F:相手を理解する前に、ケンカをしてはいけません。先に相手を理解してから、こういうスキルを使う。
S:だけど、自分が感情的になると感じるんです。
F:自分が、完全にカガミになったような、真っ白な白板になったと想像してみてください。
ホワイトボード、そういう想像をしながら、イメージする。そして呼吸する。
S:私の場合、攻撃してしまって、自分の言いたいことを早口で言ってしまう。
F:その場合、そのような状況に、まさにこのスキルがいきる。練習しなければいけません。でも、練習すればできる。私もとっても長くかかった。
S:怒りは、突然向かってくることがあって、その時に、頭に血が上って我慢できない。
  その時に、クールダウンするスキルを教えてください。
F:契約のやりとりの団体交渉とか、意地悪な嫌な弁護士が相手のとき、相手の弁護士がギャーギャー言って来る、立ち上がって叫ぶ・・・
想像してみて、彼の後ろに動物がいる、相手の頭をドンドン叩いているイメージ、クリエイティブな映像を創造してみて。
自分の怒りをコントロールできないと、相手の予想どおりに動いていることになる。
  自分が正しくとも勝つことが出来ない。正しいかもしれないけれども、そんなやり方では
  勝てない。もちろん勝ちたいんでしょう。
S:団体交渉とかでは結構できるんですが、近い仲間とそうなった時にできない。
F:それも、同じようにして動物を想像して、同じ組合員でも同じようなことをしてください。
  相手の頭に、杭がささっているところを想像したりして怒りを納める。何でもいい、自分にとっていいイメージを浮かべる。
S:同じ怒りを納めるにしても、やっぱり仲間にそれを思い浮かべるのはちょっと。
どういうふうに、発展的に解消していくのか。動物でもやさしい動物とか、ひどいものを想像するのでなくて、例えば、お芝居の場面を想定して仲間がいてうまく解決する自分というのを想定して、こうしたらいいなという感じでやっていったらどうですか。
F:いいアイデアですね。彼女のように攻撃的な方法でなくても、自分にとってうまく行く方法がいい。クリエイティブにイメージすることです。

S:質問です。私の場合、対立よりも批判に対してどのようにやっていくのかが必要で、その場合にもこのスキルが有効なのかどうなのか。
F:相手からの批判も、一種の怒りです。攻撃的な怒りに対して、内奥から来る怒り、隠れているような怒りによって出てくるものだから同じです。
あなたのために言ってあげているという形で出てくる。
  あなたの仕事ぶりとか、あなたのために言っているんだよ、とくるような批判。
S:例えば女性の地位を上げましょうみたいなことを言うと、組合の男性の反発が批判としてでてくる。例えばポジティブアクションについて、なんで女性だけ優遇しなければいけないんだというような批判として出される。
F:「それは、男性に対する差別だといいたいんですか」
「あなたがおっしゃった事は、女性は管理職にもそんなに就いていないし、ポジティブアクションするっていうことは、それも、女性に対する差別だとおっしゃっているのですか?」
「女性は、ポジティブアクションなしで、高い賃金でなくても良いと言っているんですか?」
S:男性たちは、自分たちの地位が女性たちに脅かされると思っているので、そういった表現の仕方をするのかなと思うのですが。
F:最初に「何でそんなこというの」というと、相手に言い返す反応ですが、そうすると、男性の思いどうりになってしまって、自分と議論しているような感じになってしまう。
この反復リスニングスキルを使えば、あるスペースを作ることが出来る。
「あなたが言っていることは、・・・」口論に入ることをせずに、自分の言いたいことを主張できて、その場をコントロールすることが出来るわけです。
S:批判派に対して、今の手法で気付かせることができるということ?
F:ちょっと、パワーバランスを変えることができる。
相手は、あなたが怒ると考えている、でも、それと違ってその場をコントロールすることができる。自分にスペースをもって、冷静的に反応することができます。
S:議論する前の準備ですね。テーブルの前に問題をおくというための準備。
F:そうです。毎回うまく行くわけではないし、時々うまく出来ない時もあります。忘れてしまうときもあるけど、やってみる価値はあると思います。

−もうひとつの方法―無反応型リスニングスキル−
F:もう1つの、無反応型に移りましょう。
F:アメリカの文化の中でいうと、女性は、必ず何かに反応するように学習してきた。
ですから、誰か怒っている時に、どうにかしなくてはいけないと思い込んでいるんですね。
  でも、それは違うと思います。すでに、そこに大きな力が働いているわけです。
  誰かが、わああああああと怒りをぶつけてきたとして、そこに何も反応がなかったとした
 ら、つまり相手にならないということです、怒りが出てガス抜きするまで待っている。待った後に、実はこのことなんですけど、と言う風に入っていくわけです。
つまり、反応しない。自分を口論の場に入れ込まない。
F:この手法は、怒りを溜め込んだ男性に有効です。
先ほどの組合でのミーティング場面を思い出してください。女性の役割について話しています。批判的な男性が始めるわけです。「あんた、いつも中途半端に目立つんだよね。いつも女・女・女」そこで反応しない、相手の土俵に乗らない。
まさに、相手の土俵に乗らずに、そこにいて「私たちの話していたのは○○の何条ですよね」というように、そのまま話を続けます。
  あるいは、「私たちは、組合の中で女性の役割というものをきっちりと議論しなくてはいけないんですよね」というように。
F:つまり、怒っていることを無視してしまう、無効にしてしまう。彼の出したものは無効。しかし、これは、言うは易すし、行うは難しなんです。
なぜならば、女性は、何か起こったときに、直ぐ反応するというように、学習してきたからです。みなさん、どう思いますか。
予見を持たないで、その場をきちんと自分で把握しているということですね。状況を想定してやってみましょう。相手の人は何か知らないけど、私に対して怒っているわけですね。無反応型ですから、言われても土俵に乗らない。練習しましょう。
<無反応型リスニング練習>
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
F:反応しないって、なかなか、難しいですね、練習するしかないんです。頭の中にこういう方法があるんだということを知っておいて、使えるときに使うしかないんです。
まず想像してみてください。これからどんな場面で、反復リスニングや無反応リスニングの方法を具体的に使えるか。どんなところに使えるか、ちゃんとメモしてください。
これに沿って場面を設定してやってみてください。
そして、どんなところが、うまく行ったのか、どんなところが、うまくいかなかったのか書き留めておいてください。
先入観、予見をもたない。相手の予想どうりに行動しない、はまらない。
S:団体交渉の時に、私がはまらないことは出来るが、当事者がはまってしまう。
さっきのスキルを使って、「落ち着いて」なんてさせてしまうと、○○さん、私の気持ちがわからないんじゃないかと言われることがある、だから、どこかで怒りを出し切ることも必要ではないか、一度は当事者の怒りのガス抜きをしないと、怒りを爆発させないと。
F:それは、自分の中で選択することです。
感情、怒り、積もってしてしまったものを出すと言われました。
でも、そこでは行わなければいけない目的があるわけです。それをきちんとやり遂げたいと思った時には、それは、ひとつの選択ですから、もし、目的そのものに主眼を置くなら、色んなやり方があるはずです。あくまでも、それは自分がとる戦略です。
反復リスニングで、少なくとも相手が聞いてくれるんだということは確認できます。
S1:団体交渉をやる前に、「上司があなたが怒ることを言うかもしれないから」と、あらかじめ、トレーニングした方がいいということですね。
私は、団体交渉で怒らない方がいいと思う時は、怒らないでいられるわけですけれど、
  経営者の前で怒らないほうがいいと当事者に伝えていても、あまりひどいことを言われて当事者の怒りが爆発してしまうことは、しょっちゅうおこるわけです。
F:当事者も、何か話さなければいけないんですか。
S1:会社は、組合と当事者の分断作戦を取ってくることがあります。
F:そういう時こそ、当事者に無反応リスニングを使う。
S2:私なら、当事者に、「今、問題にされていることは○○ですよね」とフォーカスをし直す。そして、その話を相手に言うのだけれども、当事者にも聞こえるように言っていく。 
S1:そうしているんですが、怒りの強い人は、大変。
F:私はそういう時、当事者に、エミリーが代表者だから、自分が怒ったときはメモでも何でも渡して伝えてくれといって、私が代表として当事者が怒っていると伝えます。相手には無反応型で対応した方がいい。
会社は、当事者を怒らせたい。そこで、当事者が怒ってしまうと本当に予想どうりに構造にはまってしまうわけです。だから無反応で、○さんの方を向いて任せる。
S2:今、ある人物を思い浮かべているんですけど、あなたの態度が団体交渉のうまくいかなる要因だといくら説明してもわかってもらえない。私が正しいとなってしまう。
F:私も同じような経験があります。何回も何回も、それで負けてしまう。
S3:いろんな状況が想像できると思うのですけど。組合員もストレスがたまるし、前提として、解雇を出されたら、絶対会社は、過去何年間に遡って一杯悪口言ってくるよ、などと説明して、事前に今までで想定される向こうの反応を説明したり、団交の無反応を練習したり。それでも怒ったときは、「私が代わりに言いましょう」と言っていう時もあるかもしれないけど、「彼女の怒りは、こういう意味です。もし、娘さんが同じような場面に合ったら、あなたも怒りませんか」、というような返し方で、組合員をフォローすることも場合によっては必要かもしれないと思います。
F:そうですね。事前の準備がすごく大事になってきますね。
当事者の方に、もし、こういう場面に出たときは、こういうことを言われるかも、ああいうこともいわれるかも、まず、上司があなたを怒らせることを言うかもしれませんけれども、ということを準備しておくのと同時に、あなたが代表しているんだということをきちんと理解させておかなくてはならない。
  「もし、あなたが、こういう立場なら」というのもとてもいいやり方だと思います。

S:無反応ですけど、私は表情に出てくるのが抑えられないです。
F:ポーカーフェイス
S:それが出来ない。口はださなくても出来ない。
F:本当にとってもよくわかります。難しいんですけど、練習しなくてはいけない。
イメージトレーニングをした方がいいですね。自分が石版になってしまう。水みたいな感じで何でも流せる感じにイメージする。イメージトレーニングしないと、無理でしょうね。
S:何回もおっしゃっていただいたんですけど、それがむずかしいなーと感じる。
F:ほんとうに、家でもどこでもいいから、経験を積んでいくしかないですね。
私でも、団体交渉なんかで感情まるだしの人を目の前にすると、目がぐるぐるしてしまう。
  ですから、ポーカーフェイスの訓練は絶えずしなければいけません。
私たち、感情豊かな表現をしっかりもってしまっているんですね。だから、ポーカーフェイスにしろというのは、むずかしいですよね。
ひとつのやり方としては、絶えず笑みを浮かべるみたいなやり方もあるかもしれない。
本当に、いい人っぽい顔をする。いい人の口からすごいことが出るとしたら、相手の土俵に乗っていないことじゃないですか?
もう、そんなことありえないというようなことを、笑みを浮かべながら言ったりすると、相手は予想できなくなってくる。そういう意味で笑い顔っていうのは割と楽かもしれない。
でも、どんな方法でも構いません。相手の土俵には乗らないということです。
S:こっちが怒りをぶつけたい時に、相手にかわされたらどうしたらいいんですか?
F:ですから、怒りというのは選択すればいい、選択的に使えばいいのです。

−怒りは戦略的に使う−
F:怒りは、ある種の戦略だから、選択して、ただ怒るのではなく場面によって怒りをだす。
誤解しないでほしいのですが、怒りを一切出してはいけませんと言っているわけではありません。
怒りをつかう時には、戦略的に使ってください。
ただ、こっちが戦略的に怒りを使っているつもりでも、相手が受け止めてくれなかったら、それは何も出来ません。相手が無反応型の技術を使ってしまったということなんですね。
ということは、このスキルは効果があるということ。自分が使おうが、相手がつかおうが。
S:その怒りは、失敗したということですか?
F:そうですね。
自分の怒りの手法は効果を持たなかったので、今度は違うやり方でやらなくてはいけない。
  本当に、落ち着いて落ち着いて、感情なんてないような形で。相手が予想できないもの。
1つの作戦ではなくて、いろいろな作戦を選べるようにしないと、みんなは、○さんに何か言えば怒ってくれると思っているとなると、完全にはまってしまっているわけです。
  引き出しをたくさん持つということです。
S:どの人の話も、とっても、ジェンダーの問題という気がします。
  この事をどれだけ、自分で意識できるかということで、引き出しを増やす方法だってあると思います。
F:まさにそうです。男性というのは、女は直ぐ怒るし、ヒステリーになるし、手におえないと思っているわけです。男の側は、そういう先入観を持ってしまっている。
  ですから、戦略としては、相手の先入観を裏切ることをすればいい、相手の状況を把握しているということと、落ち着いているということ。相手をかわしていくこと。
まずは、相手の土俵に載らずに、相手の期待を裏切って、時間を置いていく。
  その後、戦術的に怒りをだす。いつもやるやり方ではないのです。どうやるかは、皆さんの経験を重ね共有していくことで増やしましょう。
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