記事
記事の一覧アメリカの組合員の労働教育用のマニュアル要約
[ 資料 ] 掲載 2006/11/04 更新 2006/11/05
※2005/07ワークショップ資料
アメリカの組合員用の労働教育用のマニュアルによく見られるものの要約を下記に挙げます.国によって労働法や法の運用が違うので,このマニュアルも国によって違ってくることに注意してください.この要約は例を示すためだけにあるものです.最終的には,7 月のワークショップで私たちが作るものの中身は,そのときの参加者とファシリテーターが一緒に決めることになります.
☆組織化に関する基本的スキル
組織化に関するスキルのワークショップは,労働教育プログラムのかなめともいえるものです.なぜなら組合員自身が自分たちのもつ力を見出し,組合員が大勢で活動することによって,管理職が持っている権力を労働者に取り戻す方法を学ぶことができるからです.
目的:下記に挙げることを通して,すべての組合員がオルガナイザーとなるためにエンパワーすること.
・自分が抱えている問題をサポートしてもらえるように,どのように同僚に話しをすればいいか,また組合への勧誘の方法などを,新しい組合員に教える方法を考え出す.
・署名や団体による苦情申し立て,また上司との集団の面会,職場での行動などの交渉ごとをサポートするための戦略や活動について話し合う.
・若い労働者や,組合を利用してサポートをしようとしないメンバーなどの難しい問題や特別なケースに組合員オルガナイザーが対応できるような準備.
・個々人の問題や苦情であってもグループ全体に影響する問題として認識でき,その問題を扱うために組織化できることるようにオルガナイザーの能力を高める.
・労働者たちが自分の意見を主張できるための自信とスキルをつけること.
☆組合の意識化の向上
このワークショップは,「組織化に関するワークショップ」と同様,組合員数を増やすことや長期的かつ活発な組合員の参加を労働教育を通して促すことを目的としたものです.私たちは組合員が組合の目的やゴール,そして組合が持つ力をきちんと理解したならば,必ず組合に活発に熱心に参加すると信じています.
目的:
・組合の基本的思想,特に集団で行動を起こしたり団体交渉をしたりすること,また連帯から生まれる力についての説明.
・組合の基本的な価値観,例えば民主主義,フェミニズム,労働する権利についての説明.
・職場での問題を解決するために組合が行えることについて説明.
☆会員のエンパワメント:活動家の「道具箱」を作る!
このワークショップでは,組合員は効率的な活動のための基本的な戦略や方法について学びます.参加者は職場での行動の計画と実行方法また交渉のためのキャンペーンや,契約履行させる方法,政治的な教育を習得します.ここでの議論の中心は労働者間の連帯と参加を作り上げる技術になります.
☆団体交渉に関する基本的スキル
このワークショップでは会社側との交渉に参加する組合員を養成します.また団体交渉の基本的思想と機能についての説明も含みます.
目的:
・交渉準備について学ぶ.基本的な調査方法.
・交渉のための戦略や方法についての説明や練習.
・会社側の議論の持って行き方や提案についての予想や対応方法.
・会社側と会い,交渉のテーブルで対等に話せるようにロールプレイやその他のエクササイズを通して自信を身に付ける.
☆基本的コミュニケーションスキル
このコースでは,組合員とコミュニケーションをはかり,労働者の連帯を形成するため組合が使える様々な「書き言葉」について考える.この技術は範囲が広く,簡単なリーフレットや組合のニュースレターから,インターネットを利用したものまで様々な可能性がある.参加者は新しいスキルを身に付け,またはすでに持っているスキルをさらに向上させることができる.また組合のミーティングやコミュニティでの集まりなどで発言するときのスキルアップや自信を持てるような方法も学ぶ.
☆女性の権利/労働者の権利
職場における労働者の基本的な法的な権利について説明する(注).参加者は労働基準法などによる労働者の保護やどのような利益があるのかを学ぶ.
このコースでは違法行為を効率的に指摘し,雇用主に法を遵守させるために,職場レベルでできる方法をステップを追って学ぶ.
目的:
・職場における問題を挙げる.
・そのとき労働者が持つ権利を見出す.
・職場に適応できる法律について学ぶ.
・その法律が職場における問題にどのように適応できるか考える.
・ロールプレイをして,法律の適応方法を練習する.
☆差別との闘い(注):
差別を認識しそれに対して闘うために必要な知識やスキルを身につけられるようにするワークショップ.差別にはセクシャルハラスメント,賃金差別,仕事上での差別も含まれる.
目的:
・職場におけるどのような差別が法律に触れるか挙げてみる.
・その州法や連邦法によって誰が差別から守られているのか見直す.
・法を施行する責任があるのは誰か見直す.
・典型的な職場の状況に法律を当てはめてみる練習をする.
・差別に対する様々な対応について知り,評価する.対応には,苦情申し立て,告訴,集団での行動,もしくは「沈黙を守る」ことなどが含まれる.
注:法律的な問題を含むワークショップを作る際には,労働法にあかるい法律家に相談する必要があるかもしれない.このワークショップを作るグループにボランティアで労働法の法律家が参加してくれるのがベスト. |
関連ワーク | | 関連記事 | |
|