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UE(全米電機ラジオ工労働組合)

[ 報告 ] 掲載 2006/11/04 更新 2006/11/05

※2004/09ワークショップ報告

UE(全米電機ラジオ工労働組合)

1. 概要

AFL-CIOの加入していない唯一の独立系の全国組合です.戦前から戦後にかけてCIO(AFL-CIOがまだAFLとCIOにわかれていた頃)に所属してたが1949年に脱退しています.その理由は路線の違い(「共産主義者」を容認するかどうか)でした.CIOはその後,UEに対抗してIUEを作っています.1950年代の赤狩りの時期にUEの指導者はかなり投獄され,組合のメンバーは半減します.ただし,1990年代にはいってやや盛り返してきている.設立当初から,Rank-and-File uion(一般組合員)を重視する運動を展開するという特徴があるようです.したがって,トップダウンの意思決定をできるだけ回避することにしているようです

UEは,民主的な現場労働者のユニオンである。1936年産業別ユニオンの新しい運動として作られた。アメリカでは,1946年タフト・ハトレー法の成立で,政府の組合攻撃が激化,コミュニスト組織が非合法化された.UEは,組合に対するアカ攻撃を跳ね返した数少ない組合.現在まで,組合員メンバーが教育しあう-民主主義の伝統がいきていると言う.現在,組合員35000人

個々の労働者のエンパワーをするために,3つのレベルでの活動を重視している.

2.構造

☆ 3つのレベルの特徴

1)ローカルレベル
1つの会社,小さい単位,全員参加で意思決定をする.その際は直接投票で決める.仲裁からストライキの決定,財政も独自に持っていて決めている.全員労働者で構成大きいレベルは3000人(一つの工場で)平均的には200〜300人単位,

2)地域レベル
例えばUE中西部というように分かれている.ここでは,労働者教育リーダーシップ教育を開発している.ラリー(デモ行進)への参加やピケットライントレーニングなどの援助も行っている.ユニオンの組織化について議論するために,年3回の会合を持っておりここでも,別の財政をもって運営している

3)全米のレベル
ローカルへの情報の提供,調査活動,教育活動,国際連帯活動を主として行う.年次総会を開いて方針を決定している.

☆ 構造の特徴

・ ローカルでの意思決定は,月1回のミーティングで60%の承認を必要とする
・ 有償スタッフについて労働者以上の賃金をもらうことは出来ない.投票権はない.
・ 膨大なリーダーを作る.そのためにお互いに情報を分かち合う.各UEのスタッフのサポートをする.たとえば帳簿の付け方,
・ 職場単位のスタッフ(ショップスチュワート)が学ぶこと.
資料の作成の仕方,セクシュアルハラスメントとどう闘うかなど,身につけてもらうための情報誌を配るなど
・ UEの教育部は,ハンドブックを作成した.スチュワードは,膨大な資料をもらう.
・ いかに,ボスと交渉するか常に話し合う.一般組合員が組織化する,家庭訪問なども行

・ スピークアウトリーフは,何でユニオンに入ることが必要か,一般メンバーに知らせて
いる.言葉も移民労働者に向けてたくさんある.

☆ 国際連帯活動の経験

アイリスという会社の事例
親会社 日本にある.ミシコン州にも工場があって組織化の過程で中心メンバーが解雇された.日本の全労連がアイリス小山の会社と交渉し解雇の撤回がなされた.
GEゼネラルエレクトロニックス ストライキに対して工場閉鎖が起きた.キャンペー
ンや圧力をかけインドの工場にも情報を流した結果,工場閉鎖が解かれた

☆ 民主主義について
1ヶ月に1回のミーティングで組合員の全員投票で決定している.
知っていること,上司について,組合費について,誰を代表にするかについて
職場の仲間についてできるだけ情報を共有化していく
ニュースレター毎日加えて苦情処理の仕方を伝えている

☆ アカ攻撃に対して
積極的にPR活動をしイメージを変えていった.宗教団体にも出かけていってベースが
広がっていた.

私が重要に思った点
・民主主義について,徹底した情報の共有化―膨大な資料を受け取る
  スピークアウトリーフ ― マニュアルを全員が出来るように
・スタッフと,一般組合員の学びあう関係と力関係を対等にする方法
  スタッフの投票権の制限
・組合に対するアカ攻撃への対抗 ― 宗教団体などにも出かけていく
関連ワーク
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