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9to5･･･低賃金女性の組織化

※2004年9月24日働く女性の日米ワークショップの報告 9to5について･･･低賃金女性の組織化 報告：リンダ・メリック 　　コロラドの会長から全米会長になったところ 　　共同会長だったエレン・ブレイボとグロリア・サンタと一緒にレポートを準備した 　　9to5 (National Association of Working Women，全米働く女性協会) ○1973 年にマサチューセッツ，ボストンで結成 ・ボストンの大学(ハーバード大)で秘書として働いていた女性たち(カレン・ナスバム，エレン・キャスディーなど)は権限を持った上司たちへの不満，無権利な補助的事務職スタッフについて怒っていた ・オフィス労働者のための週末に開かれたワークショップに参加したら，そこでは女性参加者たちが問題を挙げていた低賃金，限られた昇進の機会，労働条件にういてほとんどコントロール出来ない，銀行ローンが借りられない(その銀行で出納係の女性)，保険が不十分で病気になれない(病院事務職)，子供をカレッジにやる余裕ない(大学秘書)などなど彼女たちは自分たちのスキルと仕事に誇りをもっていて，その仕事への評価を高くすること，彼女たちへの扱いと賃金を変えることを求めていた ・このワークショップの後10 人の女性たちが集まり，こうした声をニュースレターにして，朝通勤時に地下鉄駅前やオフィスビル前で配った ・とても反応があり，集まりを呼びかけたら300 人の女性たちが参加当時の不満，要求(職についての性差の拡大，女性労働の低い評価，家族責任への配慮のなさ)は「セクシュアル・ハラスメント」「ペイ・エクイティ」「家族休暇」といった言葉・概念として当時は存在していなかったが，今日でも共通の問題 ・1973 年11 月，働く女性協会を結成，通常の勤務時間にちなんで「9to5」と命名 ○結成当初は伝統的に女性職を代表する事務職労働者に焦点を当てた ・働く女性の三分の一が管理部門の補助的位置(事務職)にあり，働く女性の最大セクターとして急成長していた．貧困に近い層だったが，救貧団体，ユニオン，フェミニスト組織も対象にはしていなかった ○1975 年全国組織発足 ・他の諸都市でも同じようなグループがつくられていく． 　　60 年代の社会運動の経験の影響，女性の労働への大量流入による ・ワークショップ：仕事をめぐる問題／どのように賃上げを求めるか／退職までの計画を立て，仕事の待遇改善を勝ち取るために組織化するか ・多くの女性たちが勝利していく 　　昇給，職務記述や配置を変えさせる， 　　訴訟で昇進・訓練・バックペイで勝利(出版，保険，銀行の女性たち) 　　少数の企業だが，従業員の子供の養育を補助するための積立をさせる ○映画「9 時から5 時まで」で認知度高まる 　　9to5に共感したジェーン・フォンダが映画製作 　　ストーリーはメンバーにインタビューに基づくもの，ただし，初めのシナリオではボスを殺害することになっていたのを，誘拐に変更させた ○成果があがる ・ミルウォーキーの銀行：従業員の扶養家族の健康保険料を自己負担にさせようとしたことに対してデモしてその負担分に相当する賃上げを勝ち取った ・集団訴訟での勝利(デルタ9to5ネットワークによる長年のキャンペーン) ・HIV で解雇された航空産業労働者の訴訟 ○女性運動と労働運動がクロスするところに関心 ・ボストンのいくつかのローカルで努力し，組合本部との関係を探索 ・1981年，SEIU(Service Employees International Union，全米サービス従業員労働組合)の925 支部発足(その後解散) 　これは9to5とは別の組織として事務(オフィス)労働者を組織し団体交渉を行う ・労働組合は組合の協約によって守られる 　勝手な解雇から守られ，先任権を得る，未組織より賃金が良い，社会保障給付を受けられる，などなど ・それに対して9to5は非営利団体として組合員となることが直接の選択肢でない女性たちを巻き込み，メディアを引き付ける点で利点があることに気付く ○政策・立法への取り組み ・メディアでのインタビュー，行動，証言や教育的プログラムを駆使して法律に影響を与える ・連邦レベル：1978 年 妊娠差別に対する法律(連邦レベル) 1991 年 公民権法 1993年 家族看護休業法 州レベル： ぺイ・エクイティ法，家族休業法，コンピュータ・ユーザー・保護法 ○9to5の影響力を示す具体例 中西部の都市で9to5が結成されたことに対して経営者が対策のためのセミナーを開こうとした(タイトル：9to5，それは映画だけではないー9to5が皆さんの職場に入らないよう，どうするか) しかしこの案内状をオフィスで初めに開けるのは秘書，何人かが支部にメールで連絡，秘密にセミナーに参加，セミナー後記者会見を開いて従業員の組織化を妨害することに対して非難した ○1980 年代後期の9to5の課題は周辺化された労働者(パートタイマー，臨時など)たちのニーズに向き合う 　福祉プログラムの問題でもあるが，差別や家族休業がないために仕事を失った女性の問題のためには就労条件の改善が根本的に必要 1990 年代，リビング・ウエｲジ・自立できる賃金とその基準またセイフティ・ネットを取り除こうとすることへの闘い短期的な改善と同時に貧困と差別をもたらす根本原因に対する継続的取り組み他の女性グループ，労働者，宗教グループ，コミュニティ組織との協力が必要 ○ホットライン活動 ・1989 年コンピュータ労働者が仕事中電子(モニター)監視されていることについてホットラインを行う 　→スパイされたことに対する怒り 　それ以外について，あらゆるタイプの仕事の問題について電話 ・1991 年クローレンス・トーマス事件最高裁ヒアリング以降はセクシュアル・ハラスメントについての電話が殺到 ・ホットラインを組織化のツールに発展させた 　ホットラインを宣伝し，多くの女性にとってホットラインによって最初に組織化について学び，どうすれば自分たちが関わることが出来るかを知る ・その他の組織化の方法 　福祉や失業に関する事務所，ジョブ・トレーニング・プログラム，子供ケアセンターなどにいる女性たちの所へ行く ○4つの政策領域 ・家族に関するもの：連邦法の家族看護休業法(Family Medical Leave Act)をより利用しやすく適用を拡大する 　健康家族法(Healthy Family Act)を連邦法として提案されているが，それを成立させる(病気のために休んだ日数のうち最低7 日間は補償させる) ・職と収入の支援：リビング・ウェイジと健康保険給付を伴う家族を支える職 　そのための全国・州レベルでの努力 　適用可能は子供ケア 　低賃金家族のための教育と訓練 　福祉と失業政策において家族のケアをより考慮すること ・差別に反対する活動：アファーマティブ・アクション計画の擁護と促進 　ペイ・エクイティとセクシュアル・ハラスメント法の強化 　性的指向性，ジェンダーアイデンティティーを差別から防衛 ・非正規労働：臨時労働者，パート労働者のための保護拡大 　臨時雇用の職業紹介の悪用を抑制する ○活動スタイルはユーモアに富むユニークなもの 例：職場評価コンテスト･･･良い・悪い・全く信じられないの3 つに評価を分けてコンテストを行う お気に入りの女性に手を出し，トラブルを防止するためにポケットベルを持たせて土曜日の夜バーに来させた経営者 帰宅したら子供のベビーシッターが亡くなっているのを見つけた看護師に戻るよう要求した医師 15 年勤続した従業員の労働時間を減らして給付金や病欠補償を打ち切ったカリフォルニアのチェーンストア 最近のコンテストでは自分たちの雇用主の政策をスコア・カードで評価し，「スコアを上げる」ことに協力している者もノミネートするよう呼びかけている ○会員は50 州すべてにいる，20 州に支部，3都市でスタッフが常駐する事務所がある 　･･･全てのメンバーが活動に参加できるように，全国的なキャンペーンを展開 ○低賃金の女性の「期待」に応える(期待を高める) ・「自分の意識は立派だ，私へのペイは上がって当然」私たちの活動で女性労働者は自分たちがもっと良い待遇を受けるに値することに気付いてきた ・しかし大部分はいまだ「変化が可能なのだという信念に欠けている」「自分たち自身が変化の真の担い手なのだという認識が欠けている」 ・私たちは自分たちのスキルに自信を持つことをサポートすること，集団的な活動が重要なのだと示すことを通して，このギャップに取り組んでいる ・変化のプロセスを神秘化しないように成功した話を伝え，一つの勝利を導くには多くの小さな段階があることを示している ＜キキ＞ ペンシルバニアに住むシングルマザー 子供がいることで就職が困難，今は自分のようなシングルマザーなどへの差別にたいする保護を州法に加えるために活動している．女性の職場での権利について定期的なメディアでのプレゼンテーションをしている ＜レン＞ ウィスコンシン州ミルウォーキーの貧困ネットワークイニシアティブ支部福祉問題に対する9to5の活動と自分自身の病欠を勝ち取った話をメディアに語る家族にやさしい職場と低賃の女性と家族のための公的政策を支援する候補者を支持する有権者の誓約はがきを1 万枚集めるキャンペーンで活動している ＜ホリー，エレン＞ デンバーのメンバー 福祉や失業に関する事務所，低収入者の住宅センターや子供ケア・センターで新しい有権者の登録をしている･･･低賃金の女性たちが自分たちの日々の生活で直面している問題と，あらゆるレベルでの選挙での選択の関係を示す有権者登録を行った女性たちは11 月の選挙で投票することで選挙後も政策を実現させるために取り組む私たちのキャンペーンに関わることで政治過程に参加する ○結成から30 年，自分たち自身，常に変化させつつある 私たちは常に多人種，多文化的であらゆる形態の差別と闘うことを強調してきたしかし，実際の私たちの組織スタッフの上層部はほとんど白人，1990 年代半ばから検討を始めた ・非白人女性，レズビアン／バイ・セクシュアルの女性，ハンディキャップを持って生活する女性，貧困の中にある女性のために，都もに集える安全なスペースを作り出すためのコーカス(独自グループ)を新たに加えるといった組織の構造改革 ・委員会(ボード)とスタッフは，一貫して自分たちグループが言行一致しているかをチェックしてきた･･･私たちの使命，プログラム，内部の衝突を解決する私たちの方法にいたるまで全てを検討 ・より集団的な運営，組織をより平準化させる ○9to5は働く女性が自ら経験した個別の痛みは個人的なものでないこと，パワーの問題なのだと知ることが出来るところでありたい 9to5は，単にパワーの中に多くの女性を押し込むのではなく，パワーを否定された全ての女性と集団の手にパワーをもたらすことをめざす ＜議論・質問＞ ○9to5と労働組合 ・9to5はユニオンに参加できない女性へのプレユニオントレーニング，では925 のように大きな組合に吸収されていることへのコメントは？ ･･･事務職で労組が結成されていないところはたくさんある，そことをサポートする政治過程への変化や関心を芽生えさせる，大きな変化をつくる前の地ならし．925 は交渉権をもつ単位で別の団体 ・925 について独立性は？ ･･･925 はSEIU のメンバー，ユニオンの中で一つの立場(独自性)・発言力・地位を得た職の連携からSEIU の部門統合(職業ベースから業界ベースになり一般化が必要になり統合) ○ホットラインについて ・ホットラインが組織化のツールになったというが，メンバー定着の問題は？ ･･･ホットラインを使って9to5の教育，問題解決していなくなることもあるが．まずコンタクトをとる，初めの電話では対処法を聞いてくるが個別問題だけでなく説明する，加入についてや他のキャンペーンについて話していく(一人の問題は特異ではない，効果的な変化は団交によること，組織の一部になることなど)組織の活動に参加を呼びかける ・団交へのプロセスは？ ･･･9to5は労働組合でなく，交渉権はない，団交を行う組織ではない．情報を分かち合って解決法を話し合う(戦術，組織をサポート)．個別問題についてはワーカーグループや組合を紹介したり連絡をとる役割
関連ワーク
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